【山梨ワイナリー特集】葡萄収穫の新手法【ナイトハーヴェスト】を導入しているワイナリー

さて突然ですが、みなさんは【ナイトハーヴェスト】を知っていますか。和訳すると、【夜の収穫】という意味です。その意味どおり真夜中に葡萄を収穫する方法になります。今回は、【ナイトハーヴェスト】を使った山梨ワインを紹介したいと思います。

ナイトハーヴェスト

まずナイトハーヴェスト紹介をしていきたいと思います。

ナイトハーヴェストでは、日中に比べて気温が下がった夜明け前の時間に、冷えている状態の果実を摘み、そのまま仕込みまでをおこないます。

オススメポイント①
高糖度葡萄の収穫

葡萄の糖度には、温度変化が大きく影響しています。植物の呼吸も人間同様、気温が高ければ高いほど盛んになります。そのため、温度が低い夜は比較的呼吸も穏やかになり、呼吸とともに消費される糖も少なくて済みます。その結果、夜の温度が低い状態のときに糖度は上がる傾向にあります。

蓄えられた糖度が最高の状態である夜明け前に収穫をすることで、高い糖度を保った葡萄を収穫することができるのです。

オススメポイント②
アロマが絶頂となるタイミングでの収穫

柑橘のような香りに関与していると言われている香り成分「3MH(3-メルカプトヘキサノール)」は葡萄の果皮にある「3MH前駆体」が最終的に酵母の働きによって変換されて生成されます。そして、前駆体が多ければ多いほど香り成分が多いワインと言われています。

ナイトハーヴェストでは、前駆体が葡萄に多い状態で収穫することができるため、アロマがピークの内に収穫ができます。

オススメポイント③
リスク回避

収穫した後の葡萄が高温だった場合、酸化や腐敗などのさまざまな要因から痛みが進行しやすくなってしまいます。そのため、ナイトハーヴェストによって収穫された葡萄は、冷えた状態で醸造までおこなうことで、その品質を保持しやすいといわれています。

ナイトハーヴェストで収穫した低い温度の葡萄をすぐに醸造にまわすことができれば、低温での原料処理が可能になるため、酸化や微生物汚染のリスクを低減することができます。

ここまでくると、ナイトハーヴェストのワイン飲んでみたくなりませんか?笑

ナイトハーヴェスト
×山梨ワイン

それでは、ナイトハーヴェストの葡萄を使った山梨ワインを紹介していきたいと思います。と意気込んだものの、ナイトハーヴェストを導入しているワイナリーは非常に少なかったです。編集部調べでは山梨にワイナリーを構えてる中では2つだけでした。
ドメーヌ・ミエ・イケノ】と【サントネージュワイン】だけです。

それでは、ドメーヌ・ミエ・イケノのワインから紹介をしたいと思います。

月香シャルドネ

  • ワイン名
    月香シャルドネ
  • 品種
    シャルドネ
  • タイプ
    辛口
  • ヴィンテージ
    2019
  • 生産本数
    1640本
  • 栽培
    ヨーロッパ式垣根栽培、化学肥料・除草剤不使用、草生栽培、環境保全型循環農業
  • 発酵
    フレンチオーク樽の小樽発酵
  • 樽熟成
    10~12ヶ月
  • 飲み頃温度
    8~12度
  • 飲み頃
    購入時〜10年
  • 価格
    税込7,480円
  • ワイナリーコメント
    トップノートの桃やアプリコットの甘い香りにライチ、青リンゴ、若いパイナップル、オレンジやグレープフルーツの柑橘系の香りが続き、最後にアカシアのハチミツやバニラが追いかけてくる複雑な香りになっています。そして、キリッと引き締まった酸味がワイン全体のバランスを良い仕上がりにしてくれています。

    ドメーヌ・ミエ・イケノ

    【ドメーヌ ミエ・イケノ】は、2007年春に八ヶ岳山麓の小高い丘陵地にワイン用葡萄の栽培を開始した、ワイン造りを完全なる0から始めたワイナリーです。そして、葡萄の栽培からワインの醸造までを一貫して手掛けています。栽培している葡萄は【シャルドネ】【メルロー】【ピノ・ノワール】の3種類になります。
    【自社畑100%の葡萄で高品質なワインを造りたい】
    非常にシンプルな想いですが、内に秘められている【闘志】【こだわり】は底知れぬものがあります。

    山梨ワインドットノムが【ドメーヌ ミエ・イケノ】を調べているうちに、驚くことを知りました。それは日本で初めてグラビティ・フローシステムを導入したワイナリーがドメーヌ ミエ・イケノだったのです。
    グラビティ・フローシステムは、編集部が訪問したことのあるCantina Hiro98winesでも採用されていたシステムです。このシステムのおかげで、葡萄には人工的な付加をかけずに、重力だけを利用し醸造することが可能になっています。その結果、葡萄やワインを優しく取り扱えるため、葡萄の繊細な個性をワインに活かすことができ、エレガントで特色のあるワインが仕上がるのです。
    実力派ワイナリーが採用し、ワインの品質にも大きく影響を及ぼすシステムを導入したのが、歴史も浅い小規模ワイナリーであったことは非常に驚くべきことではないでしょうか。

    近い将来、取材をしてみなさんにその魅力を報告したいものです。

  • ワイナリー名
    ドメーヌ・ミエ・イケノ
  • 住所
    山梨県北杜市小淵沢町下笹尾114
  • ホームページ
    https://www.mieikeno.com/
  • 2021年1月20日の記事執筆時点で、オンラインストアに公開されているワインは【1本】のみになりますが、すでに完売になっています。
    やはり、ドメーヌ・ミエ・イケノワインを飲むには、リゾナーレ八ヶ岳に行くしかありませんね。

    続いて、サントネージュのワインを紹介します。

    牧丘倉科畑シャルドネ

  • ワイン名
    牧丘倉科畑シャルドネ
  • 品種
    シャルドネ
  • タイプ
    辛口
  • 価格
    税込4,400円
  • ワイナリーコメント
    垣根栽培で丁寧に育てられたシャルドネを100%使用しています。また特徴的なことは、標高750mに位置する冷涼な牧丘倉科畑のシャルドネ種を丁寧にナイト・ハーベストしている点です。フレッシュな果実味に綺麗な酸とふくよかなボディが調和した余韻の長いワインに仕上がっています。

    サントネージュワイン

    編集部が感じる、サントネージュワインは【先見の明があるワイナリー】です。

    その理由は、どのワイナリーよりも先に【欧州品種原料葡萄】の導入をしたからです。そして、ワイン専用葡萄を栽培していなかった山形県上山市でワイン専用葡萄の栽培開始をしたワイナリーでもあります。まさに、新たな可能性を見つけ成功に導いているワイナリーといえるでしょう。そして、世界的ワインコンクールのリュブリアナ国際ワインコンクールでも大金賞を受賞もしました。今日における、山梨ワイナリーの栽培技術、山梨以外のワイナリーの礎を作ったワイナリーの1つであることは間違いないでしょう。

    気になる【サントネージュ】とは、フランス語で【聖なる雪】を意味する言葉です。
    サントネージュワインへの行き帰り、そして葡萄栽培の作業に辛くなり空を仰いだその視線の先には、世界に名を馳せる富士山が自然と見えてくるとのことです。その【富士山の頂きにかかる雪】これが由来でした。
    富士山の最も高い頂上を聖域として扱い、神々しいほどに輝く雪を【サントネージュ】と表現しているのです。
    そして富士山のように日本を代表するワインを造れるように、ワイナリー名には世界を見渡す強い想いが秘められていました。

    そして、サントネージュワインには【独特なテロワール】があります。通常【テロワール】とは【地勢】【気候】【土壌】の3要素を指します。しかし、サントネージュはそれら3つに加え【人】も加えて考えています。同じ【地勢】【気候】【土壌】でも、生産者が異なれば葡萄の個性は変わります。同様に、同じ葡萄でも醸造家が異なれば、ワインは変わります。つまり【人】はワインに反映される、欠かせない個性のひとつなのです。だからこそ、サントネージュは多くのコミュニケーションを重ね【人】をとても大切にしています。

  • ワイナリー名
    サントネージュワイナリー
  • 電話番号
    0553-22-1511
  • 住所
    山梨県山梨市上神内川107-1
  • ホームページ
    https://www.asahibeer.co.jp/enjoy/wine/ste-neige/
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    ナイトハーヴェストを導入している最高級ワイン

    山梨県でナイトハーヴェストを導入しているワイナリーの数を見ると、あまり主流ではない、本当に美味しいのか、と思う人もいるのではないでしょうか。
    世界的に見れば、めちゃめちゃ有名なワインでも使われているので、むしろ今後のトレンドになると山梨ワインドットノム編集部は考えています。

    そのワインとは一体…
    高級なワインランキングでも上位に入り、芸能人人気も高い【オーパスワン】です。

    2001年ヴィンテージから、醸造責任者が変わりました。それがきっかけで、夜明け前に収穫する「ナイトハーヴェスト」を実施するようになったのです。
    オーパス・ワンの伝統的なスタイルを継承しつつも、科学的な検証の基、ナイトハーヴェストやビオディナミとオーガニックを併用した自然な栽培方法に取り組むことで細部に手を伸ばし、ワインの洗練度に磨きがかかっています。

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    非常に参考になると思います♪
    ぜひ、みなさんの山梨へ観光する際のお供に!!

    山梨ワインドットノム編集部は、【自称山梨ワイナリー観光大使】を役職に【醸造家徹底応援!】を掲げ活動をしております。素人だからこそ感じる、ワインに対しての率直な感想を始め、ワインの基礎知識、山梨の美味しいお店などの情報を案内します。
    情報は、記事執筆時点のものとなります。詳しくは、各ワイナリーサイトの情報をご確認下さい。各ワイナリーへのお問い合わせは、各ワイナリーサイト記載された方法でお問い合わせ願います。

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