ワイナリーに行ったことのある方や、テレビで見かけたことのある方は、ワインを樽で熟成させることがあることをご存知だと思います。
しかし、なぜワインを樽で熟成させるのかについては、知らない方も多いのではないのでしょうか。
今回は、ワインを樽で熟成させる理由について書いていきます。
Contents
樽熟成の歴史
ワインと樽の関係は、実は長い歴史があります。
大航海時代、16世紀末頃のヨーロッパにて、フランスのコニャック地方で造られたブランデーをアメリカに輸出した際に、たまたま積み下ろしを忘れてブランデーの入った樽を持ち帰ってしまったのです。
開けてみるとビックリ、無色透明なはずのブランデーが茶色がかっていて、木の香りが付いていることが発見されます。
当時はブランデー等の蒸留酒は無色透明が当たり前で、今のような茶色がかったものは存在しませんでした。
これが、お酒を樽で熟成させることの始まりなのです。
そこから、ワインを樽で熟成させていく流れへと発展していきます。
樽熟成から得られる効果
樽で熟成させることによって得られる効果は、大きく2つあります。
1つ目は風味付けです。
樽は日本では樫(かし)と呼ばれるオーク材で出来ているため、その木の香りがそのままワインへと移ります。
これにより、いわゆるヴァニラ、ココナッツ、燻製臭、キャラメル感を与えることができるのですね。
つまり、後味を加えることで味に深みを出すことができます。
2つ目は赤ワインの渋みをマイルドにするためです。
樽内は密閉空間ながらも、木材という性質上、酸素の流入を完全に断ち切ることはできません。
そのため、緩やかに樽内のワインに酸素が接触していき、色素が安定し渋みの原因となるタンニンが和らいでいきます。
ちなみに白ワインの場合はそのフレッシュな果実味を推すために、酸素の流入を完全遮断できるステンレスタンクを使われることが多いようです。
もちろん、風味付けのために白ワインを樽で熟成させることもあります。
樽の種類
今現在、樽熟成に使われる樽の種類は大きく分けて2つあります。
フレンチオーク
名前の通りフランスで生まれた樽です。
フランスは気候が涼しいので、木がゆっくり成長します。
そのため、木質に蓄積される成分の密度が高くなるのです。
密度が高い分樽成分の抽出には時間が掛かりますが、繊細できめ細い樽の香りや味わいが抽出することができます。
適度にワインに変化を与えることができるため、現在の主流はフレンチオークを使われることが多いようです。
アメリカンオーク
アメリカンオークはフレンチオークと比べて年輪幅が広くなります。
そのため、短期間で樽成分が多く抽出することができるのです。
樽由来の香りがしっかりとしたワインを造りたい場合に、使われることが多いようです。
ちなみに無類の樽ワイン好きである筆者はフレンチオークとアメリカンオークの比較をしたことがありますが、アメリカンオークで熟成されたワインは本当に木の香りが強く、まるで木のエキスを飲んでいるような感覚になりました笑
まさにアメリカンスタイルの大味なワインといった感じで好みが分かれそうな印象を受けました。
個人的にはフレンチオークで熟成させた方が丁度いいかなという感想ですが、機会のある方は是非飲み比べをしてみてください。
樽のロースト具合でも風味が変わる
実は樽はさらに細分化することができるのです。
樽をロースト(内部を焼く)することで、ワインへの風味付けに更なる変化を与えることが出来ます。
その焼き具合で、与えたい変化を変えるのです。
肉の焼き方で言うレアやミディアムレア、ウェルダンのようなイメージですね。
ライトロースト
軽く焼くことで、軽いヴァニラ香をワインに与えます。
ミディアム・ロースト
適度に焼くことで、スパイス、ヴァニラ、ココア、チョコレートのような風味を与えることができます。
ヘヴィ・ロースト
かなり焼くことで、煙、コーヒー、カラメルのような風味を与えることができます。
樽の新旧
熟成に使う樽は、ワイナリーの方針にもよりますが、洗浄・消毒をし4~5回ほど繰り返し使われます。
ワインの熟成に樽を使うと、その樽の成分がワインに溶け出すため、当然1回目の熟成と数回目の熟成では与える影響に変化が出ます。
熟成1回目の樽は新樽と呼ばれ、最も樽由来の香りをワインに付けることができます。
2回目の樽が与える影響は新樽に比べて25~30%程度と言われており、3回目となると10%程度と言われています。
しかしながら、樽の影響が大きいからと言って新樽が必ずしも良いということではなく、どういった性質のワインを造りたいのかによって樽を使い分けるようです。
ワイナリーの工夫が、こういった細かいところにも見られるのは面白いですよね!
まとめ
いかがでしたか?
樽とワインの関係について、意外と知らないことも多かったのではないでしょうか。
樽好きの筆者としては、是非とも樽への理解を深めていただき、読者の皆様にも樽熟成のワインを好きになっていただけたらと思います!
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