今回我ら山梨ワインドットノムメンバーは、一般公開は原則実施していないワイナリーに訪問してきました。
そのワイナリーは、【四恩醸造】です。
聞いたことある人もいるかもしれませんが、その全貌を知らない人がほとんどではないでしょうか。
今回は、秘密のベールに隠された『四恩醸造』を紐解きます。
実は私たち山梨ワインドットノムも、四恩醸造へ訪問をするきっかけを得たのは三養醸造の山田さんのおかげだったのです。昨年の夏、山梨県にあるワイナリーへの訪問を9割以上終えた編集部は件の三養醸造へ報告と相談に。
そこで、訪問できなかったワイナリーのお話をすると、すぐさま醸造家の人に電話をしてくれたのです。
そのワイナリーの1つが四恩醸造だったのです。
ただそのときは、これから収穫・醸造の繁忙期だったため冬頃に訪問をさせていただく約束をしたのでした。
そしてついに訪問が叶ったのです。
『四恩醸造』とはいったいどんなワイナリーなのでしょうか。
『四恩醸造』とは!?
2007年。
それが四恩醸造がワイン事業に本格的に参入をしたときです。
その参入背景には、『巨峰を中心とした葡萄の美味しさをより多くの家庭に届けたい』そんな想いがありました。
四恩醸造は、家族団欒を造るワインを造るワイナリーといえるでしょう。
では、一体どんなワインを造っているのでしょうか。
四恩醸造が造るワイン、それはワイン初心者でも飲みやすい『辛口ワイン』です。
実際にワインを食事と一緒に飲んだ経験がある人はわかると思いますが、辛口ワインの方が甘口ワインよりも食事に合います。
そのため、家族団欒を大切にする四恩醸造と辛口ワインは非常に相性がいいのです。
実際に、四恩醸造は辛口ワインが人気です。
編集部もテイスティングをさせていただきましたが、ワインから滲み出る優しさが箸を自然と進めるだろうとすぐに思いました。
ワインには、癖になってしまう『心地よさ』があったのです。
そして四恩醸造のワインにはもう一つ魅力があります。
それはワインのラベルです。四恩醸造のラベルは、他のワイナリーとは一風変わっていて非常に個性的です。
ではどんならべるになっているのでしょうか。
四恩醸造のラベルには、食卓や玄関を彩ることのできる『花の絵』が描かれています。
家族と過ごす大切な空間に華やかさを与えたい、そんな想いがラベルに込められています。
このラベルデザインは、身内の人が実際に書いた油彩画だったのです。

Source:希望

Source:向日葵

Source:マーガレット

Source:薔薇
すでに四恩醸造では完売しているラベルデザインのものもありました。
このラベルデザインは、他のワイナリーが真似することはほぼできない特長の1つであることは間違いありません。
ワインを飲み干した後、花瓶として花を挿したくなる気持ちがすごくわかります。
希少ワインとも呼べる四恩醸造ワインは下記のお店で購入できます。
ぜひ見つけたら手に取ってみてください。新たなワインとの出会いがあるはずです。
- ワイナリー名
四恩醸造 - 住所
〒404-0016 山梨県山梨市牧丘町千野々宮764番地1 - お問い合わせ
こちらから
・ワイナリーにいないときは、勝沼ワイン村にて、ワインを買うことができます。
編集長対談
テイスティングの前後に、ワイン造りに関してお話をした内容をいくつか紹介したいと思います。
編集長:経営母体としては、横浜にある四恩学園という幼稚園と聞きましたが、なにがキッカケでワイン業界に足を踏み入れようと思ったのですか。
- 実は、四恩醸造はずっと昔から子供たちが、葡萄狩りに来ていた場所なのです。
つまり、この場所は栽培していた葡萄を子供たちに経験してもらう場所としての意味合いもあったのです。
ちなみにその理由は、この場所で収穫できる葡萄が本当に美味しかったからなのです。
葡萄だけではやや物足りなく、白百合醸造で委託醸造していたのです。
ただ偶然にもこの場所を売る人がいたので、工場にして自分たちで造ろう、それがまず四恩醸造の誕生秘話です。
より深く説明をすると、もう1つワイナリーを造った背景があります。
それは、子供たちが大人になったとき、『当時の葡萄狩りのことを思い出してほしい』そして『感動を持って欲しい、いい経験をしたな、と前向きになってほしい』
そう思って欲しいからです。幼い頃の楽しい思い出が、点で終わるのではなく線となる、そういう過去があるとないでは大きく違うと思っているからです。
編集長:四恩醸造ワインのオススメのシーンを教えてください。
- 基本的には、食事を想定した上でワインを造っています。
そのため、食事と一緒に飲んでいただけるのがベストだと思います。
ただ、食事がないと飲めないわけではありません。
『宅飲み』のような歓談の場で飲んでいただけると嬉しいですね。
編集長:どんなところにこだわっていますか。
- 山梨県内のワイナリーの多くは私たちと同じようなことを思っていると思いますが、
『県産葡萄』にこだわっています。
それは新鮮な葡萄を使いたいからです。
編集長:四恩醸造が目指すワインとはなんでしょうか。それは、山梨県にある他のワイナリーと同じゴールを見据えているのでしょうか。
- たしかに、世界的な基準で考えるのであれば山梨県の他のワイナリーも日本ワイン産業を支える仲間ですから、見据えているゴールは同じものもあるでしょう。
だから技術は共有したりします。
しかし造るワイン、造りたいワインは違うと思います。
四恩醸造でいえば、まずは地に足をつけることを大切にしています。
なぜならワイン造りは、原料である葡萄が大切と言われていますが、収穫した葡萄をワインに造りあげる環境も大切だからです。
例えるなら、設備数などです。
そのため、現環境の中で対応できる範囲の可能性を高めることを常に考えています。
編集長:四恩醸造が目指すワインスタイルとしては、『食事』が重要項目に挙げられていたと思いますが、
では実際にワイン造りをする上で、食事との相性を崩さないために大切にしている点はなんでしょうか。
- それは、酸味です。酸味の強い、弱いで食事に対する満足感が変わると思っています。
だからこそ、酸味を持っているワインが食事にどう影響を及ぼすか、を考えています。
ワインによって、酸味が強すぎる食卓になるのか、酸味をあまり感じない食卓になるのか、が決まってくるケースがあると思っています。
特に、食事のお供に合うワインを造っている四恩醸造ではなおさらです。
そしてもちろん、ワイン単体で考えることも大切です。酸味が強すぎたら飲みにくいですよね。
その酸味の適正量、が非常に大切だと思っています。
試飲スタート!
では一体、四恩醸造のワインはどんなワインなのでしょうか。
今回編集部は白ワイン2本、赤ワイン1本、ロゼワイン1本、合計4本のワインを試飲させていただきました。
希望
まずは、白ワインの『希望』から試飲をさせていただきました。
酸味が強い一方、渋みは弱くバランスがいいワインに感じます。
そして次第に、果実味が口の中に強く広がってきます。
余韻はスッキリ目だけども、香りはしっかりと残っているワインですね。
このブレンドは初めてだったということもあるかもしれませんが、
今までに飲んだことのないタイプのワインに出会った感じです。
こちらのワインは、四恩醸造で自社栽培しているソーヴィニヨン・ブラン、プチマンサン、シャルドネを使用したワインです。
豊かな果実味と豊かな酸味を強くしっかり持ち合わせた辛口ワインに仕上がっています。
比較的酸化しても、華やかな香りは残りますね。
最大の特徴は、葡萄品種の特徴がそれぞれ感じてもらえるところでしょうか。
青リンゴの香りのもと、酸味を表現してくれているのが、プチマンサン、
柑橘系のもとになっているのが、ソーヴィニヨン・ブラン、そして、余韻として残っているのがシャルドネです。
マーガレット
次に、白ワインの『マーガレット』から試飲をさせていただきました。
ワインなんだけども、まるで日本酒のような感じを持ってしまうワインです。
味わいはシュール・リーによる複雑みが、酸味にあるスッキリ感を旨味に変えてくれています。
舌が乾いていく感じでしょうか。最後の余韻としては、シュール・リーが残ります。
そして『マーガレット』は、山梨県笛吹市および甲州市産の甲州葡萄を5カ月間、タンクの中でじっくり澱の上で熟成させる「シュール・リー」製法で造っています。そのおかげで、ほのかな酵母の香りとともにワインの旨みをよりいっそう引き出せています。厚みが本当に違います。サッパリとした中に、旨味を感じてもらえると思っています。
初心者の人が飲むことを想定し、極端に濃すぎないようバランスの良い仕上がりを意識して造っています。
『焼き鳥わざび添え』との相性は最強だと思います。
わさびの甘み、鶏肉のジューシさ。このマリアージュは絶妙でしたね。
わさびの辛さが消え、甘みだけが残りました。鶏肉のジューシさが、口の中にあるワインがもたらしてくれたサッパリ感と中和して最高でした。
薔薇
次に、赤ワインの『薔薇』から試飲をさせていただきました。
また香りどおりの味を素直に感じますね。赤ワイン全体としては、やや薄めかもしれませんが。葡萄由来の果実味をストレートに感じられる赤ワインになっていると思います。
赤ワインは渋みや苦味があって飲みにくいと思っている人も多いのではないでしょうか。これは、初心者からしたらすごくわかりやすいワインにもなっている気がします。
四恩醸造の薔薇は、そんな不安を一蹴する仕上がりになっています。
『ルビーレッドに潜むまろやかな酸味』がキャッチフレーズになっています。
色鮮やかなルビーレッドが、食卓に華やかな雰囲気をもたらしてくれます。
食卓もよりいっそう華やかに。
このワインの最大の特長は、まろやかな酸味と柔らかなタンニンのバランスです。
向日葵
最後に、ロゼワインの『向日葵』を試飲をさせていただきました。
しかし、香りや実際に飲んでみるとその違いは明白でした。
香りは、葡萄由来のとてもとても甘い香りです。ただ香りとは異なり、味わいは非常にサッパリ、スッキリしている仕上がりですね。
巨峰を使ったワインだと甘口のデザートワインが多いですが、『向日葵』だとたしかに食中でもいけちゃいます。
赤ワインと同じような製法を使っているのですが、『マセラシオンしていない』点がオリジナルなポイントです。
向日葵を造る上で、重要項目としておいたのは、『飲みやすさ』『食事との相性』です。
そのため、できるだけ複雑みをなくしたかったのです。しかしながら、巨峰は皮の近くに旨味が凝縮しているのです。
そこで、完成ワインとしてイメージしたのが、『色調はピンク』『辛口』『少しだけ感じる苦味』を感じるワインだったのです。
編集長総括
では最後に、編集長から四恩醸造についての感想を聞いてみました。
それは、ワインにおける酸味の重要性です。
特に山梨ワインは食事と併せることを想定されている場合が多く、ワインの酸味には食事の輪郭を際立たせるという役割があります。
これを知ってからは、単に酸味を酸っぱいなと感じるだけではなく、ワイン、食事共に酸味の重要さを感じられるようになりました。
やはり、食事のプロが仰ることは大変参考になりますね!
それぞれの味覚の役割を知ると、食事の楽しみはグンと増えます。
この食事にはこのワインが合いそうだなと想像できるまでになることが理想ですね!笑
今後は感じられる味覚それぞれにさらにフォーカスし、全体のバランスを見ていくことを当面の目標とします!(難しいですが)
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