11月3日山梨・ヌーボーが、11月21日にボジョレー・ヌーボーが解禁しました。
今日では、イベントが開催され、多くの人の日常生活の一部になっている、『ワイン』ですが、好調な裏には『ワイナリー』の多大な苦労があります。
たしかに近年、国産ワインの出荷が好調な伸びを見せているのは事実です。
実際に、山梨県をはじめとした国内ではワイナリーが新たに誕生するなど業界としていい風が吹いています。
しかし、実際には多大なる苦労があること、将来的な不安があることが、東京商工リサーチによって実施されたアンケートのおかげでわかりました。
今回は、普段知られぬワイナリーの人が抱える悩みを理解する機会になれば幸いです。
有効回答数は70社。回答した70社の従業員数の内訳は、1~5人が26社です。
次いで、11~30人が24社、6~10人が13社で、従業員10人以下が39社と半数以上を占めました。
一方、31~50人は4社、51人以上は3社にとどまり、それぞれ5%前後です。
Contents
2019年度見込み出荷量は!?
では早速アンケートの詳細をみていこう。
2019年度見込み出荷量は!?
2019年度の見込み出荷量について、70社のうち30社が『横ばい』と回答しました。
そして、23社が『増加』、17社が『減少』と回答しました。
しかし、増産意欲は非常にもかかわらず、「横ばい」「減少」が50%以上も超えています。
その背景には、「果実酒の製法品質表示基準」の影響が指摘されています。
「果実酒の製法品質表示基準」は、ブランド価値の向上に貢献している一方、一部では原料の確保が困難で、原料価格の高騰や原料不足から減産せざる得ないメーカーを生み出してしまっているのです。ワイン法によって、消費者側は表示ラベルで内容と産地が明確に判断できる面もありますが、それによって市場に流通するワインの量が減少しているのも事実なのです。
山梨のワインブランドが世界に轟くと思っていたからです。ただ実際に理由を聞いて見ると頷ける理由がありました。
ブランドを築くということは、今まで以上に厳しい審査基準があると同時に他の商品との差別化になります。
消費者に与えるブランド力の1つは、『安心』です。
そのため、ワイナリーは『ブランド表示』に躍起になるのもわかります。
しかし、かえってそれが首を絞めていたのですね。
ワイナリーに行くと、増産意欲と同時に、質へのこだわりも感じました。
そのため、今一度なぜ原料の確保が困難になるのか、価格が高騰するのか、価格の高騰がなぜ悪いのか、考える必要があると思いました。
TPP、日欧EPAの影響は!?
2018年12月にTPP、2019年2月に日欧EPAがそれぞれ発効されました。
日欧EPAでは、ワインの関税が即時撤廃されたため、発効前に海外の競合品流入を懸念する声も少なくなかったです。
では、実際にワイナリーとしては影響があったのであろうか。
TPP、日欧EPAの影響は!?
TPP、日欧EPAの「影響がなかった」が6割以上、そして「良くない影響があった」は約1割強にとどまりました。
一見、問題ないように思えるが、それは違うのです。
「良い影響があった」と回答したメーカーはなんと0社だったのです。
やはり問題として挙げるべきは、『良い影響があった』と回答したメーカーが0社である点でしょう。
もちろん、ワイナリーだけの観点で海外の国と交渉をしているわけではないことはわかっています。
しかし、実情へのプラスがないのはいかがなものなのだろうか。
ワインの関税撤廃は、輸入面で考慮すると安値ワインによって山梨ワインなどが売れなくなる可能性があります。
逆の見方では、輸出しやすくなったため、山梨ワインなどが外国人の手に行き渡りやすくなった可能性があります。
まだ現実的な影響が発生していないかもしれないが、今後どちらか片方に傾くとそれはそれで問題だろう。
ヌーボー解禁し、新酒がリリースされた11月以降にその影響がでるか、でないか、これが大きな鍵を握っているのではないだろうか。
原料となる葡萄の調達環境は!?
原料となる醸造用葡萄の調達環境についてのアンケートも実施されました。
原料となる葡萄の調達環境は!?
その結果、現状の国内の充足感について「足りない」が70社中48社の約7割を超えました。
また、「充足している」と回答したメーカーでも「将来的な原料需給に不安を感じる」との回答がありました。
つまり、将来的な醸造用葡萄の調達環境は予断を許さない状況といえるでしょう。しかし、自社目標分の調達が可能と回答したメーカーは、46社もありました。
この数字は自社の目標分を「調達できていない」と回答したメーカー24社の約2倍なのです。
このような結果から、市場価格の上昇を指摘する声や今後の値上げを懸念があります。
ワインは、『葡萄』がなければ造ることができません。
つまり、このアンケートを素直に読み解くと将来ワインの生産量が減少、ワイナリーの数も減少していくことを意味するのです。
まして、市場価格の上昇を指摘する声や今後の値上げを懸念、は最悪だと思います。
近年、山梨ワイン、日本ワインの評価は世界であがっているにも関わらず…
ただ日本では、山梨ワイン、日本ワインの値段に対しての正しい価値観を持っている人が非常に少ないと思います。
そのため、これ以上原価が上がるとより国内での認知が下がってしまうのではないか、と非常に心配です。特に若者のワイン離れが心配です。
加えて、日欧EPAでの安値のワインの輸入量があがったときは最悪ではないでしょうか。
これまで以上に、『山梨ワイン』『日本ワイン』への理解と美味しさを理解していただく必要があると再認識しました。
調達環境に苦労している主な理由は!?
ではいったい、『原料不足』の理由はなんなのだろうか。
原料となる葡萄の調達環境は!?
1位は、やはり 「農家数(後継者)の不足」でした。この回答は7割以上にものぼりました。
実際に近年では、ワイン原料用の醸造用葡萄より、市場で高値で取り引きされる「シャインマスカット」など、高級生食用葡萄の生産に移行する農家が増えている、と指摘するメーカーも約3割強もありました。「原料を他社が高く買い取ることで原料価格が上昇し、購入できなくなった」といった声もありました。
例年、生産者に大きな影響をもたらす台風・洪水などの災害に加え、新興メーカーの台頭で原料需給がより逼迫感を増していることも背景にある。
また、ウイスキーや焼酎など他のアルコール製品と競合し、「消費も頭打ちになっている」との回答も複数みられた。
2018年12月にTPP、2019年2月に日欧EPAが発効し、海外産の値ごろ感が増し、ワイン愛好者の裾野は広がりつつあるようだ。
だが、「若い世代には国産ワインは価格が高すぎる」(山梨のワインメーカー)との声もあり、若年層へのワイン定着には時間を要するとみるメーカーも少なくない。
国内の果実酒製造場は年間、20カ所を超えるペースで増加している。大生産地の山梨、長野では小規模ワイナリーが毎年誕生し、これが原料不足に拍車をかけている。
実際に農家の人も遊びではなく仕事であるため、生活がかかっている以上ワイナリーの希望だけを通すわけにはいかないからです。
それに加え、政府による老後2,000万円発言。これを耳にすると、なかなか後継者が集まらず、育たないです。
しかしそんな現代でも、ワインが好きでワイナリー経営を目指し、山梨ワイナリーに修行する人もいます。
もっともっとワインの魅力を伝える必要、日本の伝統を伝える必要があると思います。
正直、ワインの仕事に従事し始めた結果、ワイナリーやってみたいと強く思っています。自分の畑を持って作りたい、と思っています。
それはワインを好きになれたから、それはワインをワイナリーの人が教えてくれたからです。
世界に誇れる日本のワイン文化をもっともっと多くの若者に知ってほしいです。
改めて、自分が頑張らないといけないと思った瞬間でした。
今後のワイナリー経営における現状の課題は!?
最後に、今後のワイナリーの未来についてです。
現状の課題を踏まえて、ワイナリーはどんな分析をしているのでしょうか。
今後のワイナリー経営における現状の課題は!?
最後に、今後のワイナリー経営における課題についてだ。
重点を置く経営課題として「国内販路の拡大・維持」と回答したのが約4割でトップだった。
国内のワイン消費の伸び悩みに加え、新規ワイナリーの登場や小規模ワイナリーは39社と5割を超えています。
そのため、新規の販路構築に人的資源の投入が難しくなっているのが事実だ。
しかしその一方、大手メーカーでは自社でワインに関連するイベントなどに注力、新規愛飲者の掘り起こし、ECの充実を行っている。
共通しているアクションは、自社サイトを通じブランド力の向上、若年層や女性に対するPR活動だ。
まさに、ワイナリー戦国時代となっている。
編集長ボイス
では、最後に編集長に意見を聞いてみましょう。
法整備が整ったおかげでブランド力はあがったはずですが、その一方で、日本のワイナリーの抱える課題は少なくないことを改めて学びました。
原料あってのワインですから、その葡萄を作るために国を挙げて、より良い環境作りを作ってほしいところですね。
そして一番の問題は、作り手の不足にあると思っています。
では問題解決のために僕たち山梨ワインドットノムに出来ることは何か。
それは、直接ワイナリーに足を運び、醸造家さん達の生の声を聞き、それを皆さんにお届けすることだと考えます。
出来るだけより多くの醸造家さんに聞き、出来るだけ多くの方に届ける。
今までやって来たことと大きな変化はありませんが、今後はより踏み込んだ内容で、リアルなインタビュー記事等を書いていけたらと思います。
なにせ僕たち山梨ワインドットノムは、『醸造家徹底応援!』を掲げていますから!笑
関連情報
山梨ワインドットノム編集部 おすすめ記事
山梨ワインドットノムが自信を持ってお届けしている記事です♪
特に…
山梨ワイン パーフェクトガイド2019
【必見】山梨ワイン完全ガイド!世界で認められている、山梨ワインとはどんなワイン!?これを読めば、山梨ワインがわかる。山梨ワインのことは、山梨ワインドットノムにお任せ!
山梨ワイナリー データベース
【困ったらドットノム!2019年最新版】山梨県のワイナリー完全マップ!山梨県のワイナリーを一挙紹介。山梨ワイン、山梨ワイナリーのことは山梨ワインドットノムにお任せ!
非常に参考になると思います♪
ぜひ、みなさんの山梨へ観光する際のお供に!!
素人だからこそ感じる、ワインに対しての率直な感想を始め、ワインの基礎知識、山梨の美味しいお店などの情報を案内します。
情報は、記事執筆時点のものとなります。詳しくは、各ワイナリーサイトの情報をご確認下さい。
各ワイナリーへのお問い合わせは、各ワイナリーサイト記載された方法でお問い合わせ願います。